「、雨か…。」

カツカツと細々窓を叩く音に気付き、ふと見ると
最近毎晩のように降っている雨が、今夜も落ちて来た所だった。

全ての者に何も告げず日本を発って早半年が過ぎていた。

何も告げずとはいえ、居場所はすぐに割れ、1ヶ月も経たないうちにあのばかでかい刑事から
電話が入ったときは日本の警察も捨てたものではないなと多少感心した。

だが、成歩堂からは一切連絡はなかった。

あのおせっかいな刑事のことだ、いの一番に知らせただろう。
なのに、なんの連絡もない。

無言で責めているのだ、彼は。

無責任に投げ出して、逃げ出して、裏切ったのだと。






この半年、何をしたかといえば、スコットランドヤードに出向くか、本を読むか考え事をするかで大半の時間を過ごした。

今までろくに休みもとらず、仕事をしてきた自分にとって、起きても1日のスケジュールが真っ白な事に最初は戸惑ったが
幸い、ここは料理はまずいが紅茶は美味しいものがたくさんある。


今までの人生になかった時間の過ごし方の中で、

君を、思い出す時間が増えた。






君は、いつだって君は、私を糾弾する。

裁判所での厳めしい顔で。





いいのだ、それで、いいのだよ。

君と私は相容れない。


いくら君が私を慕い、そのために弁護士になったのだとしても。



私は、私のなかで答えを見付ける。

君は関係がない。







だから、

どうか、私のなかから出て行ってくれ。

成歩堂。







2008.9.23